○斑鳩町文化財保護条例

平成4年3月26日

条例第14号

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第98条第2項の規定に基づき、斑鳩町内に存する文化財のうち、町にとつて重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もつて町民の文化的向上に資することを目的とする。

(文化財の定義)

第2条 この条例で「文化財」とは法及び奈良県文化財保護条例(昭和52年奈良県条例第26号)の規定による指定を受けた以外の文化財で次に掲げるものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書籍、典籍、古文書、その他有形の文化的所産で、斑鳩町にとつて歴史上又は、芸術上価値の高いもの及び考古資料(以下「有形文化財」という。)

(2) 演劇、音楽、工芸技術、その他無形の文化的所産で、斑鳩町にとつて歴史上又は、芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能及びこれに用いられる衣服、器具、その他の物件で斑鳩町民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)

(4) 貝塚、古墳、城跡、旧宅その他遺跡で斑鳩町にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの。庭園、橋りようその他の名勝地で斑鳩町にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で斑鳩町にとつて学術上価値の高いもの(以下「天然記念物」という。)

(財産権の尊重及び他の公益との調整)

第3条 斑鳩町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行にあたつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と公益との調整に留意しなければならない。

第2章 斑鳩町指定文化財

(文化財の指定)

第4条 教育委員会は、斑鳩町内にある文化財のうち、重要なものを斑鳩町文化財保護審議会の審議を経て、斑鳩町指定文化財(以下「町指定文化財」という。)に指定することができる。

2 前項による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする文化財(無形文化財を除く。)の所有者及び権原に基づく占有者(以下「占有者」という。)の同意を得なければならない。ただし、所有者及び占有者が判明しない場合はこの限りでない。

3 無形文化財を指定するにあたつては、町指定無形文化財の保持者を認定しなければならない。

4 前項の規定による指定をした後においても当該町指定無形文化財の保持者として認定するに足りる者があると認めるときはその者を保持者として追加認定することができる。

(告示及び通知並びに指定書及び認定書の交付)

第5条 前条の規定による指定及び認定はその旨を告示するとともに当該町指定文化財の所有者又は占有者若しくは保持者に通知する。

2 前条の規定による指定をしたときは、教育委員会は、町指定文化財の所有者に指定書を、町指定無形文化財の保持者を認定したときは認定書を交付しなければならない。

3 前条の規定による指定及び認定は告示があつたその日からその効力を生じる。

(指定文化財の解除)

第6条 町指定文化財がその価値を失つた場合その他特殊な理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 町指定無形文化財の保持者が心身の故障のため、保持者として適当でなくなつたと認められる場合、その他特殊の事由があるときは、教育委員会は保持者の認定を解除することができる。

3 町指定無形文化財の保持者が死亡したときは、保持者の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したときは、町指定無形文化財の指定は解除されたものとする。

4 第1項第2項及び前項による指定又は認定の解除には、第4条第1項並びに前条第1項及び第3項の規定を準用する。

5 町指定文化財について、法又は県条例に基づき、指定を受けたときは、当該町指定文化財の指定は、解除されるものとする。

6 前項の場合には、教育委員会はその旨を告示するとともに、国指定及び県指定文化財の所有者及び占有者に通知しなければならない。

7 町指定文化財の指定又は認定の解除を受けたときは所有者又は保持者はすみやかに町指定文化財の指定書及び認定書を教育委員会に返付しなければならない。

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第7条 町指定文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、町指定文化財を管理しなければならない。

2 町指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは専ら自己にかわり当該指定文化財の管理の責に任ずべきもの(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは町指定文化財の所有者は、すみやかにその旨を教育委員会に届けなければならない。管理責任者を解任したときも、同様とする。

4 管理責任者は第1項の規定を準用する。

(管理団体による管理)

第8条 町指定文化財につき所有者が判明しない場合又は、所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、教育委員会は適当な団体(以下「管理団体」という。)を指定して、当該町指定文化財の保存のため必要な管理(当該町指定文化財の保存のため必要な施設、設備、その他の物件で当該町指定文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行わせることができる。

2 前項の規定による指定をするには、教育委員会はあらかじめ、当該町指定文化財の所有者及び占有者並びに指定しようとする団体の同意を得なければならない。ただし、所有者又は占有者が判明しない場合、この限りではない。

3 第1項の規定による指定したときは、教育委員会はその旨を告示するとともに、前項に規定する所有者、占有者及び団体等に通知しなければならない。

4 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示があつた日からその効力を生じる。

5 管理団体には、前条第1項の規定を準用する。

6 第1項に規定する事由が消滅した場合、その他特殊の事由があるときは、教育委員会は管理団体の指定を解除することができる。

7 前項の規定による解除には、第3項及び第4項の規定を準用する。

(所有者等の届出義務)

第9条 次の各号の場合には、所有者(管理責任者のある場合はその者)はすみやかに指定書又は認定書を添えて教育委員会に届け出なければならない。

(1) 町指定文化財の所有者が変更したとき。

(2) 町指定文化財の所有者又は占有者及び保持者がその氏名又は名称若しくは住所を変更したとき。

(3) 町指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくは、き損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。

(4) 町指定文化財の所在の場所を変更しようとするとき。ただし、一時的な所在の場所の変更の場合を除く。

(5) 町指定の天然記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に移動があつたとき。

(管理又は修理の補助)

第10条 町指定文化財の管理(当該町指定文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で当該町指定文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)又は修理につき多額の経費を要し、町指定文化財の所有者又は管理団体がその負担に堪えない場合、その他特別の事情がある場合には、その経費の一部に充てさせるため、町指定文化財の所有者又は、管理団体に対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 教育委員会は、前項の補助金の交付を受ける所有者又は管理団体に対し、当該補助に係る管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。

(管理又は修理に関する勧告)

第11条 町指定文化財の管理が適当でないため、当該町指定文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、教育委員会は、所有者、管理責任者又は管理団体に対し、管理方法の改善保存施設の設置、その他管理に関し必要な処置を勧告することができる。

2 町指定文化財がき損している場合において、その保存のために必要があると認めるときは、教育委員会は、所有者又は管理団体に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。

3 前項の規定による勧告に基づいてする処置又は修理に要する費用は予算の範囲内でその全部又は一部を町の負担とすることができる。

4 前項の規定により町が費用の全部又は一部を負担する場合には前条第2項の規定を準用する。

(有償譲渡の場合の納付金)

第12条 町が修理又は管理に関し必要な措置(以下この条において「修理等」という。)につき第10条第1項の規定により補助金を交付し、又は前条第3項の規定により費用を負担した町指定文化財のその当時における所有者又はその相続人、受遺者若しくは受贈者は、補助又は費用負担に係る修理等が行われた後当該町指定文化財を有償で譲り渡した場合においては、法第42条第2項及び第3項の規定を準用する。

(現状変更等の制限)

第13条 町指定文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合及び保存に及ぼす影響が軽微である場合は、この限りでない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合においてその許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

3 第1項の許可を受けたものが前項の許可の条件に従わなかつたときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

4 第1項の許可を受けることができなかつたことにより、又は第2項の許可の条件を付せられたことによつて損失を受けた者に対しては、町はその通常生ずべき損失を補償する。

(修理の届出)

第14条 町指定文化財を修理しようとするときは、所有者又は管理団体はあらかじめその旨を教育委員会に届出なければならない。ただし、第10条の規定による場合又は前条第1項の規定により許可を受けなければならない場合はこの限りでない。

2 町指定文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導と助言をすることができる。

(公開)

第15条 教育委員会は町指定文化財の所有者に対し、一定の期間を限つて、町又は教育委員会が行う公開の用に供するため当該町指定文化財を出品することを求めることができる。

2 教育委員会は町指定文化財の所有者に対し、一定の期間を限つて、当該町指定文化財の公開を求めることができる。

3 前項の規定による出品又は公開に要する費用は、その全部又は一部を町の負担とすることができる。

4 第1項又は第2項の規定により出品又は公開したことに起因して当該町指定文化財が滅失し、又はき損したときは、町は所有者に対し、その通常生ずるべき損失を補償する。ただし、所有者、管理責任者又は管理団体の責に帰すべき事由によつて滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。

5 教育委員会は、第1項の規定により町指定文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該町指定文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。

(調査)

第16条 教育委員会は必要があると認めるときは、町指定文化財の所有者、管理責任者又は管理団体に対し、当該町指定文化財の現状又は管理若しくは修理の現況につき報告を求めることができる。

2 教育委員会は、町指定文化財の指定をしようとするときは、その他必要があると認めたときは、所有者等の同意を得て立入り調査を行うことができる。

(所有者の変更等に伴う権利義務の承継)

第17条 町指定文化財の所有者が変更したときは、新たに所有者となつた者は、当該町指定文化財に関し、この条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による変更前の所有者の権利義務を承継する。

第3章 審議機関

(町文化財保護審議会)

第18条 斑鳩町内にある文化財の保存及び活用、文化財に関する調査研究の機関として斑鳩町文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(組織)

第19条 審議会は、委員6名以内で組織する。

2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

3 委員及び臨時委員は、文化財に深い関心を有する者のうちから町長が教育委員会の意見を聴いて委嘱する。

(任期)

第20条 委員の任期は3年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。

2 委員は再任されることができる。

3 臨時委員は当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは解任されるものとする。

(会長及び副会長)

第21条 審議会は、会長1名、副会長1名を置く。会長及び副会長は委員の互選により定める。

2 会長は会務を総括する。会長に事故あるときは、副会長がその職務を代理する。

3 会長及び副会長の任期は委員の在任期間とする。

(会議)

第22条 審議会の会議は会長が招集する。

2 審議会の議事は出席委員の過半数で決し、可否同数のときは会長の決するところによる。

3 会議は、委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数が出席しなければ開くことができない。

(庶務)

第23条 審議会の庶務は教育委員会事務局において行う。

(その他)

第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会が規則で定める。

この条例は、平成4年4月1日から施行する。

斑鳩町文化財保護条例

平成4年3月26日 条例第14号

(平成4年3月26日施行)

体系情報
第7編 育/第4章 文化財
沿革情報
平成4年3月26日 条例第14号