○斑鳩町環境保全条例

平成7年12月22日

条例第25号

前文

われわれ斑鳩町民は、緑豊かな自然と良好な環境のもとで生活を営んできた。

この自然と良好な環境は、われわれの健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ、そこに生まれ、そこに住み、そこを利用するすべての人がその恵沢を享受するとともに、将来の町民にこの豊かな自然と良好な環境を継承することができるよう、適正に守つていかなければならない大切なものである。

しかし、世界的に地球の環境保護を訴える声が高まつているなか、近年の急激な都市化や環境破壊は、生活環境を著しく悪化させるばかりでなく、人間と自然の調和を崩し、地域社会における連帯感の欠如、人間阻害等の諸問題を引き起こしかねない。

そこで、われわれは、町民、事業者、町の連携と自覚のもと、総意を結集し、このような環境破壊を防止し、人にやさしい、地球にやさしい環境づくりを基調とした、真に豊かな自然と良好な環境を保全し、かつ創造していかなければならないという基本理念のもと、ここに斑鳩町環境保全条例を制定する。

目次

前文

第1章 総則

第1節 通則(第1条・第2条)

第2節 町の責務(第3条~第7条)

第3節 事業者の責務(第8条~第13条)

第4節 町民の責務(第14条~第16条)

第2章 生活環境の保全及び育成

第1節 清潔の保持(第17条~第20条)

第2節 廃棄物の処理(第21条~第22条)

第3節 騒音の防止(第23条~第24条)

第4節 屋外作業等の制限(第25条~第26条)

第5節 自動車公害の防止(第27条・第28条)

第6節 あき地の管理等(第29条)

第7節 愛がん動物の管理(第30条・第31条)

第8節 交通安全の確保(第32条~第34条)

第3章 自然環境の保全及び育成

第1節 緑化の推進(第35条~第39条)

第2節 自然環境の利用(第40条)

第4章 歴史環境の保全(第41条・第42条)

第5章 景観の保全及び育成(第43条・第44条)

第6章 補則(第45条・第46条)

附則

第1章 総則

第1節 通則

(目的)

第1条 この条例は、すべての町民が健康で文化的な生活を営むうえにおいて、良好な環境が極めて重要であることにかんがみ、町、町民及び事業者の責務を明らかにし、並びに良好な環境を確保する施策の基本となる事項を定め、その施策の総合的な推進を図り、もつて町民の良好な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 良好な環境 町民が、健康で文化的な生活を営むことができる生活環境、自然環境、歴史環境及び景観をいう。

(2) 生活環境 人の生活に係る環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその育成環境を含むものをいう。

(3) 自然環境 自然の生態系をめぐる土地、大気、水及び動植物等を一体として総合的にとらえたものをいう。

(4) 歴史環境 本町の歴史的遺産及びこれらをとりまく環境をいう。

(5) 事業者 本町において事業活動を営む者をいう。

第2節 町の責務

(基本的責務)

第3条 町長は、良好な環境の確保に関する総合的及び基本的な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならない。

(環境施設の整備)

第4条 町長は、良好な環境を確保するため、公園、緑地、道路、下水道、河川等の環境施設の総合的整備に努めなければならない。

(公害の防止)

第5条 町長は、公害関係法令又は奈良県公害防止条例(昭和46年7月奈良県条例第4号。以下「公害関係法令等」という。)に定めるところにより、公害(環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する公害をいう。以下同じ。)の防止に関する施策を講じるよう努めなければならない。

(町民意識の啓発)

第6条 町長は、良好な環境の確保に関する知識の普及を図り、良好な環境づくりに関する町民の意識の高揚を図らなければならない。

(地域活動の育成)

第7条 町長は、町民がそれぞれの地域において、良好な環境を確保するために行う活動を育成し、地域の良好な環境づくりが図られるように努めなければならない。

第3節 事業者の責務

(基本的責務)

第8条 事業者は、その事業活動により良好な環境を損なうことのないよう常に配慮し、その責任と負担において、必要な対策及び措置を講じなければならない。

(管理及び監視義務)

第9条 事業者は、良好な環境を確保するため、常に施設等を適正に管理するとともに、その作業状況を把握しなければならない。

(規制基準等の順守)

第10条 事業者は、公害関係法令等に定める規制基準等を超える公害の原因となる物質等を発生させ、排出し、又は飛散させてはならない。

(努力義務)

第11条 事業者は、法令及びこの条例に違反しない場合であつても、良好な環境の確保に努力しなければならない。

(紛争の処理)

第12条 事業者は、その事業活動により良好な環境の確保に関する紛争が生じたときは、誠意をもつてその解決にあたらなければならない。

(協力義務)

第13条 事業者は、町長その他の行政機関等が実施する良好な環境の確保に関する施策に積極的に協力しなければならない。

第4節 町民の責務

(基本的責務)

第14条 町民は、常に良好な環境の確保に努めなければならない。

(土地、建物等の管理)

第15条 本町において土地、建物その他の物件を所有し、占有し、又は管理する者(以下「所有者等」という。)は、当該物件を適正に管理し、良好な環境の確保に努めなければならない。

(協力義務)

第16条 町民は、町長その他の行政機関等が実施する良好な環境の確保に関する施策に積極的に協力しなければならない。

第2章 生活環境の保全及び育成

第1節 清潔の保持

(公共の場所でのポイ捨て禁止等)

第17条 何人も、公園、広場、道路、河川その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)において、ごみ(飲食料を収納していた缶、瓶、その他の容器(以下「空き缶等」という。)、たばこの吸い殻及びチューインガムの噛みかすをいう。以下同じ。)を捨ててはならない。

2 公共の場所の管理者はその管理する公共の場所の清潔を保持し、ごみが捨てられないよう必要な措置を講じなければならない。

(ポイ捨ての禁止等)

第18条 何人も、空き地(現に人が使用していない土地(現に人が使用している土地であつても相当の空閑部分を有することにより、人が使用していない土地と同様の状態にあるものを含む。)をいう。以下同じ。)にごみを捨ててはならない。

2 空き地を所有し、又は管理する者(以下「空き地の所有者等」という。)は、ごみを捨てられないよう自ら必要な措置を講じなければならない。

(印刷物等配布者の散乱防止義務)

第19条 何人も、公共の場所において、印刷物等を公衆に配布する場合は、その配布場所周辺に印刷物が散乱しないようにしなければならない。

2 町長は、印刷物等がその配布場所周辺に散乱した場合は、配布者に対し、当該印刷物等を収拾するよう指示することができる。

(工事施工者の義務)

第20条 土木工事、建築工事その他の工事を行う者は、その工事に関し、土砂、廃材、資材等が道路その他の公共の場所及びその周辺に飛散し、脱落し、又は堆積しないよう必要な措置を講じなければならない。

2 町長は、工事等が原因で、公共の場所等の環境を著しく害していると認められる者に対して、必要な措置を執るよう指導することができる。

第2節 廃棄物の処理

(廃棄物の処理)

第21条 何人も、廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)の再生処理等を行うことにより、その減量に努めなければならない。

2 事業者は、事業活動に伴つて生じる廃棄物を、その責任と負担において、適正に処理しなければならない。

(投棄の禁止)

第22条 何人も、公共の場所、山林、あき地等に廃棄物を不法に投棄してはならない。

2 町長は、前項の規定に違反して廃棄物を投棄した者に対して、必要な措置を執るよう指導することができる。

第3節 騒音の防止

(静穏の保持)

第23条 何人も、近隣の静穏を害するような騒音を発生させないよう努めなければならない。

2 事業者は、その事業活動により近隣の静穏を害する騒音を発生させるおそれがあるときは、施設の位置、作業の方法等について必要な措置を講じなければならない。

(拡声機の使用制限)

第24条 商業宣伝を目的として拡声機を使用する者は、周辺の生活環境を損なわないよう必要な措置を講じなければならない。

2 町長は、拡声機を使用する者が、前項に定める必要な措置を講じないことにより、周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは、当該者に対して、必要な措置を執るよう指導することができる。

第4節 屋外作業等の制限

(屋外作業の制限)

第25条 何人も、作業の性質上やむを得ない場合を除き、屋外で公害を発生させる作業をしてはならない。

(屋外燃焼行為の制限)

第26条 何人も、住居が集合している地域及びその周辺地域において、燃焼に伴いばい煙、悪臭又は有毒ガスを発生するおそれのあるゴム、硫黄、ピッチ、合成樹脂、廃油及び廃液等を多量に屋外において燃焼させてはならない。ただし、焼却炉の使用等適切な処理の方法により、燃焼させる場合はこの限りではない。

2 町長は、前条及び前項の規定に違反して屋外において作業が行われていること又は燃焼行為が行われていることにより、周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは、当該違反行為を行つている者に対して、必要な措置を執るよう指導することができる。

第5節 自動車公害の防止

(自動車の適正な運転及び整備)

第27条 自動車(道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車及び同条第3項に規定する原動機付自転車をいう。以下同じ。)を運転する者及び所有する者は、当該自動車からみだりに排出ガス及び騒音を排出し、又は発生させないように努めなければならない。

(自動車の停止時の原動機の停止)

第28条 自動車を運転する者は、駐車場内において自動車を停止している場合は当該自動車の原動機をみだりに稼働させてはならない。

2 町長は、自動車を運転する者が前項の規定に違反している場合は、当該運転者に対し必要な措置を執るよう指導することができる。

第6節 あき地の管理等

(あき地の管理)

第29条 空き地の所有者等は、その空き地に繁茂する雑草、枯草又は投棄された廃棄物を除去するとともに、廃棄物の不法投棄を防止する措置を講じる等、周辺の生活環境を損なわないように適正に管理しなければならない。

2 町長は、空き地の所有者等が前項に定める空き地の管理を怠ることにより、周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは、当該所有者に対して必要な措置を執るよう指導することができる。

第7節 愛がん動物の管理

(飼い犬等の飼育)

第30条 飼い犬、飼い猫その他の愛がん動物(以下「飼い犬等」という。)の飼育者は、その飼い犬等の形態、性状等に応じ、悪臭の発散の防止、病害虫の発生の予防等、衛生上の適正な管理に努めるとともに、人に危害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないよう適正に飼育しなければならない。

(飼い犬等のふん害の防止)

第31条 飼い犬等の所有者(所有者以外の者が飼養し、及び管理する場合は、その者を含む。以下「飼い主」という。)は、飼い犬等を屋外で運動させる場合は、次の各号に掲げる事項を順守しなければならない。

(1) 飼い犬等を綱、鎖等でつなぎ、制御できるようにすること。

(2) 飼い犬等のふんを処理するための用具を携行すること。

(3) 飼い犬等のふんにより、公共の場所並びに他人の土地、建物及び工作物を汚したときは、直ちに処理すること。

2 町長は、飼い主が前項の規定に違反して、同条各号の規定を順守していないと認めるときは、当該飼い主に対し、必要な指導をすることができる。

第8節 交通安全の確保

(運転者の順守義務)

第32条 車両(道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第8号に規定するものをいう。)の運転者又は保有者は、法令を順守するとともに、通行上の障害又は危険を生じさせないようにしなければならない。

(放置自転車等の措置)

第33条 町長は、関係行政機関の協力を求め、放置自転車等の状況の把握に努めるとともに、当該自転車等の撤去等適切な措置を講じ、交通安全の確保に努めなければならない。

(路上等における駐車車両に対する措置)

第34条 町長は、関係行政機関の協力を求め、路上駐車等の自動車等の状況の把握に努めるとともに、当該自動車等の運転者又は保有者に対し指導し、交通安全の確保に努めなければならない。

第3章 自然環境の保全及び育成

第1節 緑化の推進

(緑化の推進)

第35条 町長は、総合的な緑化の推進を図るよう努めなければならない。

(公共施設の緑化)

第36条 町長は、学校、公園、広場、道路及びその他の公共の施設等における緑化の推進に努めなければならない。

(事業所の緑化)

第37条 事業者は、事業所の敷地内に緑地を確保し、樹木を植栽する等積極的に緑化の推進に努めなければならない。

(居住地等の緑化)

第38条 何人も、その所有し、占有し、又は管理する居住地等に樹木を植栽する等積極的に緑化の推進に努めなければならない。

(適正な管理)

第39条 前3条の管理者等は、住民生活に支障を及ぼさないよう適正に管理しなければならない。

第2節 自然環境の利用

(適正な利用)

第40条 何人も、自然の保護及び育成に関する認識を深めるとともに、自然環境を利用するにあたつては、自然環境を破壊し、又は汚損することのないよう適正な利用に努めなければならない。

第4章 歴史環境の保全

(文化財の保護)

第41条 町長は、文化財(文化財保護法(昭和25年法律第214号)第2条第1項第1号から第4号に規定するものをいう。以下同じ。)の保護に関し、関係機関との協議のうえ必要な施策を講じなければならない。

2 何人も、文化財の保護に関する法令を順守するとともに、文化財の保護に関する施策及び指導に従い、文化財を消滅し、破壊し、又は損傷する等その価値を減少させることのないようにし、すすんでその保護に努めなければならない。

(歴史環境の保全)

第42条 何人も、文化財の所在する地域について、郷土の歴史的風致の個性及び特質を失わないよう、その歴史環境の保全に努めなければならない。

第5章 景観の保全及び育成

(自然景観の保全及び育成)

第43条 何人も、緑豊かな本町の自然景観の特質を自覚し、その保全及び育成に努めなければならない。

(屋外広告物)

第44条 何人も、屋外において広告物その他のこれに類するものを表示し、又は設置するにあたつては、屋外広告物法(昭和24年法律第189号)及び奈良県屋外広告物条例(昭和35年4月奈良県条例第17号)を順守するとともに、美観風致を阻害し、公衆に対し危害を与えないよう努めなければならない。

第6章 補則

(立入検査)

第45条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員に調査のために現場に立ち入らせ、説明若しくは報告を求め、又は関係者に対し、必要な指示若しくは指導をさせることができる。

2 前項の規定に基づく立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 関係者は、第1項に基づく調査に協力しなければならない。

4 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪調査のために認められたものと解釈してはならない。

(委任)

第46条 この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、町長が定める。

(施行期日)

この条例は、平成8年4月1日から施行する。

斑鳩町環境保全条例

平成7年12月22日 条例第25号

(平成7年12月22日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成7年12月22日 条例第25号